売掛債権は社会人なら知っておきたい!売掛金・未収入金の仕訳・管理や回収方法をわかりやすく解説

公開日:2022.08.25 更新日:

売掛金・未収入金の仕訳・管理や回収方法をわかりやすく解説

売掛債権とは、売掛金や受取手形といった「代金を受け取る権利」のことで、資産とみなされます。

商品の販売や役務提供を行ったことで発生した代金が、売掛債権として計上されます。

ここでは、売掛債権の仕訳方法や管理・回収、活用方法などについて解説していきます。

売掛債権は信用取引の中で利用されるもの

信用取引とは、商習慣の中では「掛け取引」とも呼ばれます。

信用取引とは、簡単に言えば「まとめて後払いをすること」です。

一定期間で取引したものを、あとから支払う方式です。

多くの場合1~2ヵ月の取引を、翌月に支払う方式がとられます。

この信用取引の中で、「まとめて後で受け取る権利」のことを売掛債権と呼びます。

信用取引のメリット・デメリット

信用取引は主に会社同士の取引でもおこなわれますが、実は個人でもおこなわれます。

例えばクレジットカード支払いはそれに近いです。

クレジットカードの場合、カード会社が取引先ごとに金額を算出しておこなってくれますが、会社同士の信用取引の場合、自分たちで管理しなければなりません。

信用取引の主なメリットとしては、下記の点が挙げられます。

  • 支払いを後回しにすることで直近の資金繰りに余裕ができる
  • 都度請求書や領収書の発行をしなくて済む
  • 都度振込手数料がかからなくなる

デメリットとしては下記があります。

  • 管理工数がかかる
  • 管理ができないと最悪資金繰りが悪くなる
  • 貸し倒れといった信用リスクがある

管理工数は取引先台帳をしっかり作れば後からわからなくなるといった事態は避けられます。

発注書や注文書のデータを紐付けるだけで済むので、そこまで工数はかかりません。

売掛債権は2種類ある

商習慣における信用取引では、主に2つの売掛債権が登場します。

それぞれ勘定科目として独立した意味や仕訳方法がありますので、しっかり識別できるようにしましょう。

売掛金

「売掛金」とは、商品やサービスの売上といった営業取引に対して得られる「代金を受け取る権利」を指します。

よく似た勘定科目として「未収入金」がありますが、未収入金は営業取引以外に発生した代金を受け取る権利になりますので注意しましょう。

具体例として、小麦粉を扱う業者を想定して解説していきます。

まずは売掛金となる場合を見てみましょう。

売掛金となる場合

パン屋に対して原材料となる小麦を毎週納品している。
請求は毎月1度、月末締め翌月末支払とする。

こちらの場合、売掛金として計上するのは1ヵ月間で納品した小麦粉の金額になります。

一方、未収入金として計上するのは次のような場合です。

未収入金となる場合

オフィス移転のため古い備品の買取を専門業者に依頼した。
見積もりをもらい納得したので売却。支払は翌月末となる契約書を結んだ。

商法第4条の考えに照らして、小麦粉を販売する業者による各種備品の販売は、「営業取引外」と考えられるため、こちらは未収入金として計上されます。

なお、今回のケースで対応する科目は雑収入です。

参照元:営業の意義|国税庁

受取手形

受取手形とは、売掛金と同様に営業取引に対して得られる「代金を受け取る権利」となります。

売掛金との相違点としては、取引があり債権があることを証明する証書を受け取る点にあります。

掛け取引はこれらの証書を発行しません。

買い手が手形を発行するには、当座預金口座という専用の口座を開設する必要があります。

口座開設には一定の信用度が必要です。

また、手形割引といって、銀行に手数料を支払って、証書を売却することですぐに現金化が可能です。

証書には約束手形・為替手形の2種類あります。

それぞれ利用シーンが異なりますので、しっかり識別できるように次の解説を参考にしてください。

約束手形とは

約束手形は、買い手が売り手に対して代金の代わりに手形を発行する際に使用される名称です。

多くの場合2社間取引は掛け取引でおこなわれるため、手形取引を行うのは特別な理由があるときです。

例えばあまり取引実績がない会社に対して約束手形は発行されます。

自由に裏書譲渡(売掛債権の売却)が可能なので、信用度が低い会社に対しては、売掛金のままにしておくよりも手形を発行するという選択をしていたようです。

ただし、実務において、現在ではあまり使用されていません。

特別な事情がある場合、下記の為替手形が利用されます。

為替手形とは

為替手形は3社間取引の際に利用されます。

為替手形には以下3種類があります。

  • 他人宛為替手形
  • 自己受為替手形
  • 自己宛為替手形

他人宛為替手形は最もオーソドックスな手形で、3社間取引で利用します。

自己受為替手形・自己宛為替手形は、2者間取引で特別な理由があって利用される手形です。

自己受為替手形は、手形の発行者と代金の受取人が同じ人物、つまり自分宛てに受取手形を発行することになります。

対して自己宛為替手形は、手形発行人と代金の支払人が同じ人物です。

自己受為替手形を使用する場面としては、売掛金の回収を確実にするために発行するケースが考えられ、発行した手形を買い手に領収書などと共に渡します。

手形を受け取った買い手は、期日までに銀行に代金の支払いをおこなわなければなりません。

督促は銀行がおこなってくれます。

銀行が巻き込まれて関係者が3名になるので、3社間取引に分類されるようになります。

手形は2回支払いがおこなわれないと銀行との取引が停止されます。

このため手形を渡された買い手側は期日を守らなければならない理由が増え、代金の回収が容易になります。

売掛債権に係る業務の基礎知識

売掛債権が発生した際の、実務で使える基礎知識やよくある注意点を紹介します。

電子保存義務化が電子帳簿保存法により決まっています。

特にでんさい(電子記録決済)の取引は手形取引を理解していないとミスをしますので、しっかりチェックしておきましょう。

売掛債権の発生

売掛債権が発生するのは、「売上が上がったのに代金を受け取らなかったとき」です。

ただし、「売上が上がった」と判断されるのは、会社が採用している基準によって異なります。

売上計上の基準については、日本の場合「実現主義」が採用されています。

ただし、いつ実現したかについては、様々な基準が認められています。

それぞれ簡単に解説していきます。

  • 出荷基準:商品を出荷した日を基準日とする
  • 引渡基準:商品が相手に届いた日を基準日とする
  • 検収基準:買い手が商品を検収し、受領した宣言をもって基準日とする

この他不動産などでは使用収益開始基準、土木では作業結了日基準などがあります。

会社によって採用している基準が異なるため、もし実務上で迷った場合は先輩や上司に確認をしましょう。

参照元:「収益認識に関する会計基準」への対応について|国税庁

売掛債権の回収方法

売掛金は受取手形と異なり支払い側へのペナルティがなく、経理担当者は未回収が起こらないようにしっかり管理し、督促をおこなわなければなりません。

現金として回収ができないと、自社のキャッシュフローが悪化してしまいます。

金額が大きいと倒産という最悪の事態になりかねません。

通常のメールや電話でもよいですが、期日通りに支払われない場合、さらなる手段に出なければなりません。

内容証明郵便は最も一般的な方法の一つです。

郵便局がいつ送ったものかを保証してくれるものです。

催告と呼び裁判の証拠として扱えます。

相手が電話に応答できて、支払う意思があるにもかかわらず何か事情があって遅れてしまうといった場合には、協議書を作成して期日を切りなおしましょう。

こちらも裁判の証拠になります。

売掛債権の有効期間

売掛金には5年間という時効が定められています。

5年を過ぎると法的に回収不能となり、別途処理が必要です。

なお、前述の催告など、時効を猶予・延長できる方法があるので、それぞれ解説します。

催告支払請求を内容証明郵便として送付します。催告から6ヶ月以内に裁判上の請求を起こすと、時効完成を猶予させることが可能です。
合意書作成取引先と協議し、期日の切り直しの合意書を作成します。最長1年間の時効完成の猶予が可能です。公正証書として作成すれば訴訟を起こさなくても、先方に差し押さえができます。
支払督促裁判所から支払督促をしてもらいます。取引先の所在地を管轄する簡易裁判所で手続きを行います。簡単な書類審査だけなので、特に証拠等は必要ありません。確定すれば時効がリセットされます。
民事調停簡易裁判所で実施されます。内容が確定すれば調停調書が作成され、差し押さえといった強制執行も可能になります。
少額訴訟売掛債権が60万円以下の場合に行われる裁判です。簡易裁判所で行う1回きりの裁判で、仮執行として強制執行に移ることも可能です。棄却された場合は上告ができます。
強制執行少額訴訟や民事調停といった手段でも支払いが行われない場合の最終手段です。銀行口座の差し押さえといった手段で取り立てを行いますが、全額回収を保証されていません。回収できる分だけ回収するという形になります。

売掛債権の仕訳

売掛債権の仕訳について、パターンごとに紹介していきます。

掛け取引が成立した場合

売掛金の計上
借方貸方
売掛金:10,000円売上:10,000円
売掛金を現金で回収
借方貸方
現金:10,000円売掛金:10,000円
売掛金が回収できなかった
借方貸方
貸倒金 or 貸し倒れ損失:10,000円売掛金:10,000円

貸倒金と貸倒損失は、どちらも会計上認められた科目ですが、統一をした方が管理が楽になります。

上司や先輩に、会社のルールがないか確認しておきましょう。

受取手形で取引した場合

受取手形の計上
借方貸方
受取手形:10,000円売上:10,000円
受取手形を銀行振込で回収
借方貸方
当座預金:10,000円受取手形:10,000円
受取手形が回収できなかった
借方貸方
貸倒金 or 貸し倒れ損失:10,000円受取手形:10,000円
受取手形を銀行で売却した
借方貸方
現金:9,500円
手形売却損:500円
受取手形:10,000円

なお、実務上は受取手形がすぐに損失になることはありません。

不渡り手形として処理し、償還請求費用(内容証明郵便等の手数料)も併せて、買い手に請求することが可能です。

売掛債権で資金調達できる「ファクタリング」

売掛債権の基礎知識と諸手続きについて紹介してきました。

実務上では管理のために取引先台帳を利用したり、発生時期が会社によって異なったりなど、ローカルルールを覚えていく必要があります。

また、売掛債権は常に未回収のリスクが伴います。

実際の現場では資金繰りが苦しい時も当然起こりえます。

掛け取引では手形のように銀行に買い取ってもらうこともできません。

そうした際には、売掛金を買い取ってくれるファクタリングというサービスもあります。

自社の状況をよく見て適時提案できるようになれると、評価も高まるのではないでしょうか。

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